解説物語原作者スタッフ&キャスト歴史年表キャラクター

解説
日本ではコミック(漫画)は子供から大人まで男女を問わず人気だが、フランスでは日本の漫画とは若干異なるが、バンド・デシネ(絵の帯)と呼ばれ、『第7番目の芸術』と言われる程、より大人の楽しみとして定着している。その中で最も人気なのがユーゴ・プラットの「コルト マルテーズ」シリーズ(全16巻)である。物語は世界を旅するイギリス海兵隊員コルトが各地の紛争に巻き込まれ、相方でも仇役でもある脱走兵ラスプーチンらと、宝探しや要人救出などの冒険を繰り広げるというもので、世界中を放浪した作家のユーゴの実体験を交え、歴史上の出来事に絡めた無国籍アクション・アドベンチャーである。まさにジェームズ・ボンドやインディ・ジョーンズ、日本で言えばルパン三世のようなキャラクターとして、フランスをはじめヨーロッパで特に人気の高いコミックである。近年のジャパニメーションのクオリティにインスパイアされた本作は、フランスで高まっているアニメ・ブームの中、満を持して長篇アニメーション映画化されたのである。
監督はロサンゼルスと東京でテレビ・アニメのディレクターを手掛けたことがあるパスカル・モレリ。筋金入りのユーゴ・プラットのファンだった彼は5年の歳月をかけて念願を果たしたのだった。音楽はナンニ・モレッティ監督作品などで活躍するフランコ・ピエルサンティ。声の出演には「ペダル・デュース」「無伴奏シャコンヌ」などのリシャール・ベリ、「つめたく冷えた月」で監督・脚本・主演を務めたパトリック・ブシテー、そして「ポネット」などで活躍し、惜しくも2003年8月、DV事故により41才の若さで亡くなってしまったマリー・トランティニャン。
本作は2002年9月にフランスで公開され、動員30万人とアニメ映画としては記録的なヒットとなっている。


B.D.(ベデ=バンド・デシネ)
Bande Dessinee(絵の帯)の略で、ハードカバー大判、フルカラーの装丁で1巻完結のものが大半であり、日本の漫画とは一線を画す。『第7番目の芸術』と呼ばれるほど完成度も高いものが多く、テーマもファンタジーから難解な物語まで幅広い。そしてコミックより高い年齢層までの支持を得ている。日本にもビジュアル的あるいはテーマ的にB.D.の影響を受けた漫画家が少なくない。

代表的な作家に、「ティコ・ムーン」などの映画監督としても知られるエンキ・ビラル、日本でもお馴染みの「タンタン」のジョルジュ・レミ=エルジェ、東京在住中に日本でも連載を持ち、日常をテーマにした日本的な作品でヌーベル漫画宣言をしたフレデリック・ボワレなど。そして本作の原作者であるユーゴ・プラットの貢献によって芸術としての地位まで向上したと言われている。

Copyright 2004 FINE FILMS,lnc.All rights reserved.