第68回 カンヌ国際映画祭 グランプリ受賞作品 第73回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞受賞

ネメシュ・ラースロー監督作品『サウルの息子』

最期まで<人間>であり続けるために― 1944年、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所。同胞のユダヤ人をガス室に送り込む任務に就く<ゾンダーコマンド>のサウルは、息子の遺体を正しく埋葬しようと、人間の尊厳をかけて最後の力を振り絞る。

1月23日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

無名の新人監督、グランプリデビューの衝撃作!

カンヌ映画祭(2015)震撼!!一人のユダヤ人の勇気と感動の二日間の記録―ガーディアン紙 ハンガリー新鋭、ネメシュ・ラースロー監督、驚異の長篇デビュー作!―ヴィアエティ誌 過去のどんなホロコースト映画にも描かれてない真実がここには描かれている―インディーワイヤー
イントロダクション

2015年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門で、ある無名の新人監督の作品が上映されると、場内は異様な興奮に包まれた。その衝撃は瞬く間に映画ジャーナリストたちの間に伝わり、その卓越した撮影法と演出により、長篇デビュー作にして見事カンヌのグランプリを獲得するという異例の快挙を成し遂げた。その新鋭監督とは『ニーチェの馬』で知られる名匠タル・ベーラの助監督をしていた38歳のハンガリー出身のネメシュ・ラースロー。強制収容所に送り込まれたユダヤ人が辿る過酷な運命を、同胞をガス室に送り込む任務につく主人公サウルに焦点を当て、サウルが見たであろう痛ましい惨劇を見る者に想像させながら描く。これまでの映画で描かれた事の無いほどリアルなホロコーストの惨状と、極限状態におかれてもなお、息子を正しく埋葬することにより、最後まで人間としての尊厳を貫き通そうとした、一人のユダヤ人の二日間を描いた感動作。

ストーリー

1944年10月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。サウルは、ハンガリー系のユダヤ人で、ゾンダーコマンドとして働いている。ゾンダーコマンドとは、ナチスが選抜した、同胞であるユダヤ人の死体処理に従事する特殊部隊のことである。彼らはそこで生き延びるためには、人間としての感情を押し殺すしか術が無い。
ある日、サウルは、ガス室で生き残った息子とおぼしき少年を発見する。少年はサウルの目の前ですぐさま殺されてしまうのだが、サウルはなんとかラビ(ユダヤ教の聖職者)を捜し出し、ユダヤ教の教義にのっとって手厚く埋葬してやろうと、収容所内を奔走する。そんな中、ゾンダーコマンド達の間には収容所脱走計画が秘密裏に進んでいた・・・。 *ユダヤ教では火葬は死者が復活できないとして禁じられている。

キャスト・スタッフ
サウル/ルーリグ・ゲーザ

1967年ブタペスト生まれ。1987年、ポーランドのクラクフに移り住み、ヤギェウォ大学でポーランド文学を学ぶ。1989年にはハンガリー演劇映画大学にて映像制作を学び始め、2つのハンガリー映画で主演をつとめる。90年代はじめにイスラエル、エルサレムに暮らした後、ブルックリンの厳格で敬虔なユダヤ教のタルムード学院で2年間学び、ほどなくして最初の詩集を出版した。2000年からニューヨーク在住し、ニューヨーク・ユダヤ教神学院を卒業と同時に教鞭をとる。これまでに7冊の詩集と1冊の短編集を出版。目下初の長編小説に取り込んでいる。

ネメシュ・ロースロー/監督・脚本

1977年ハンガリー、ブダペスト生まれ。子供時代と青年時代をフランスの首都パリで過ごした。2つの国、2つの文化の間で育ったラースロ―は、まずパリで教育を受け2003年に26歳の時にブダペストに戻ると、『倫敦から来た男』でタル・ベーラの助監督になった。 その後彼は、忠実で結束の固い少人数のチームで、この映画『サウルの息子』の実現に5年の歳月をかけた。

【CAST】サウル:ルーリグ・ゲーザ | アブラハム:モルナール・レヴェンテ | ビーダーマン:ユルス・レチン | 顎鬚の男:トッド・シャルモン | 医者:ジョーテール・シャーンドル 【STAFF】監督・脚本:ネメシュ・ラースロー | 編集:マチェー・タポニエ | 音響:ザーニ・タマーシュ | 音楽:メリシュ・ラースロー | 美術:ライク・ラースロー | 撮影:エルデーイ・マーチャーシュ
劇場情報